Seminarオスマン文書セミナー

オスマン朝の文書・帳簿を古文書学・アーカイブズ学的視点から学ぶ演習形式のセミナーです。
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(以下AA研)では、基幹研究「「記憶」のフィールド・アーカイビング:イスラームがつなぐ共生社会の動態の解明」(代表:野田仁)の事業の一環として、東京大学東洋文化研究所・班研究「オスマン朝史料学の方法的課題」(代表:秋葉淳)との共催により、 2025年3月8日(土)と9日(日)に第14回オスマン文書セミナーを対面・オンラインで開催します。研究上、オスマン朝下で作成されたさまざまな手書きの文書や帳簿を読む必要のある方を中心に、広くイスラーム史を研究される方のご参加をお待ちしております。
今回のセミナーは、以前から要望の多かった「勅許状」とも訳されるベラート(berat)を取り上げます。官職や勲章の授与に際して発行されるという性質上、ベラート本文は紋切り型の定型句から成り立っているためか、テキストが記録されることは少ないのですが、非ムスリムの特権に関するベラートは例外的に体系的に記録が残され、研究上も非常に有用です。そのため今回は非ムスリムに関するベラートを主に扱い、オスマン朝下の非ムスリムの歴史を専門とする大阪公立大の上野雅由樹さんとYusuf Ziya Karabıçakさんを講師にお迎えすることとしました。
初日は、最初にベラート正文についての古文書学的解説を行います。トゥーラを戴き、ディーヴァーニー書体で記されるため勅令と紛らわしいベラート正文の様式や形態、伝来の特徴について説明します。ついで講読するのは、非ムスリム臣民がネーデルラントの通訳に任じられることを認めるベラート正文(ハーグ国立文書館所蔵)と、「外国台帳(Düvel-i Ecnebiye Defteri)」(オスマン文書館所蔵)に記録された控えのテキストです。
セミナー2日目には「キリスト教徒聖職者へのベラート付与」と題し、Karabıçakさんと上野さんに、これまでの研究をふまえてギリシア正教会とアルメニア教会についてお話しいただきます(なおKarabıçakさんの講義は英語で行われます)。その後は上野さんを講師に、アルメニア教会イスタンブル総主教宛てベラートの台帳(オスマン文書館所蔵)に記録されたテキストを講読していきます。
参加を希望される方は、3月3日(月)までに下記ウェブフォームにてお名前、ご所属、メールアドレス、専門分野、対面・オンライン参加の別、セミナー参加可能日程ほかを明記の上(部分参加も可)、お申し込み下さい。参加希望者にはセミナーで用いる資料がダウンロードできるURLを、準備が出来次第ご案内いたします。なお参加費は無料ですが、会場の定員の都合上、オンラインによる参加をお願いすることもありえますのでご了承下さい。
申込先:こちらのフォームからお申込みください。
問合わせ先:
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 フィールドサイエンス研究企画センター事務局
e-mail:fsc_office@aa.tufs.ac.jp (@は半角)
プログラム等の詳細は以下の通りです。
日時 | 2025年3月8日(土)14:00-17:40 / 2025年3月9日(日)11:00-17:30 |
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会場 | 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)3階大会議室(303号室) (〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1) およびZoomによるオンライン開催 http://www.tufs.ac.jp/access http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/about/access |
使用言語 | 日本語および英語 |
共催 | AA研基幹研究「「記憶」のフィールド・アーカイビング:イスラームがつなぐ共生社会の動態の解明」、 東京大学東洋文化研究所・班研究「オスマン朝史料学の方法的課題」(代表:秋葉淳) |
講師 | 上野雅由樹(大阪公立大学)、Yusuf Ziya Karabıçak(大阪公立大学)、髙松洋一(AA研) |
14:00-14:20 | 趣旨説明 講師・自己紹介 |
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14:20-15:50 | ベラート正文の古文書学的解説(髙松) |
16:10-17:40 | 講読:通訳任命のベラート正文と控え(髙松) |
11:00-12:35 | キリスト教徒聖職者へのベラート付与(Karabıçak、上野) |
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13:30-15:00 | 講読:アルメニア教会イスタンブル総主教宛ベラート(上野) |
15:20-16:50 | 講読:アルメニア教会イスタンブル総主教宛ベラート(上野) |
17:00-17:30 | 総合討論 |
(当日の進行によって変更がありえますので、時刻はあくまで目安です)